(続)阪急梅田駅

「梅田駅コンコースを残したい」という署名サイトができてます。
うれしいことに、壁画は残されることになったようです。
ただ、壁画のように物として価値がありわかりやすいものだけがのこされて、その壁画と一体となっていた空間そのものの価値へは目を向けられることがあまりないことはやはり残念です。壁画は、あの空間の質をつくり出していたもののなかでも重要な部分を占めていたことに違いないとはいえ、壁画が残ったところで何が残されるのかを考えたとき、あの少し薄暗くきらびやかな艶のある長大な空間や全体のシークエンスといくつもの時代を表現しているデティールを考えたとき、本当に本質的なものとはいえるのかどうか。たとえばミラノのガレリアやニューヨークのグランドセントラルの床の一部や壁面の装飾を残して同じような大空間を持つものに建替える場合を想像してみたら、それはやっぱりおかしいんじゃないかと疑問に思うはず。阪急のあのコンコースはそれくらい価値はあるものだといえます。ぼくたちは未来のガレリアを壊そうとしているんだと言ってしまってもいい。それだけのことを今やろうとしているんだから、阪急電鉄からきっちりと示してほしい。そのへんが、関西の文化を育て支えてきた企業として最低限やっておくべきこととして、まだ残されてると思う。

それから、こういう手間のかかることを軽々とはじめられる方々の行動力とバイタリティーに期待を込めて、応援したいと思います。

鍵をなくした。
その日は、いつもとすこし違うメンバーで、いつもよりすこし饒舌になり、いつもとすこし違う場所で、いつもとすこし違うルートで帰った。
そして、その次の日からだいたい一週間、誰かが帰ってこないかと外で時間をつぶしたり、出かけようとしたら誰もいないことに気がついて部屋の中でただすごしたりと、鍵のない不自由さをすこしだけ味わって妙に鍵に詳しなたばこ屋で合鍵をふたつ作った。

阪急梅田駅

谷中M類さんのところを開いてみると、とうとう阪急梅田ビル(@建築マップ)が解体されはじめてしまったみたいだ。

大阪は、環状線と、それをわずかに越境して私鉄のターミナルが都市の核へ接続する構造や中之島と大通り、臨海部の古い工場群、そして国土コピペ省さんのところでも指摘されてるように、ある意味都市の副産物といえる明確な下層社会の存在と、その鏡像でもある大規模ニュータウンが誕生する以前の郊外住宅地の形式が生まれた阪神間の住宅地など本格的な(古典的な)都市といえる文化と空間が成立した、日本で始めての場所だったんじゃなんじゃないだろうか。

東京オリンピックまでは日本で最も栄えていた都市であったその大阪で、当時の雰囲気や文化が現在でも感じられる場所として、おそらく南海の難波ターミナルや、その難波と梅田を結ぶ地下鉄御堂筋線と並び大阪を代表する建築といえるのが阪急梅田ビルだと思う。東京オリンピック以後の都市開発ではこのような華麗な建築空間が生まれ得なかったことを考えると、日本の都市形成史の中でも西洋的な都市への憧れや、終戦により一度はリセットされる以前のはっきりとした階層社会の存在を前提とした都市中間層を満たすために生まれたともいえる都市の形成パターンの象徴的な存在だと思っていた。

他にも規模は小さいけど大阪ではダイビルや東京の三信ビル、横浜の北仲など、今、各所で話題に上がっているものをあげるだけでもきりがない。建築に限らず、その時代その場所でしか生まれない空間が壊され、それを味わう権利がこうも簡単に奪われてしまうことが、自分の生活している社会の意志なのだとすると残念だ。せめてあのホームからコンコースへ至り街へ連続する低層部のダイナミックで華やかな阪急的な空間だけでも残しながら再開発する方法がありえなかったんだろうか。

選挙

与党が3分の2を越えてしまった。
周囲ではほとんど支持されていないどころか嫌悪されているともいえる彼が、こんなにも支持されているとは。どうしようもない無力感。

小泉さんが党内の反対派を外部に出すことによって、自分は一歩も動くことなく自民党のイメージを保守から革新へ反転させるというトリックを披露したころから、報道のされ方が、明らかにそれを無責任に増幅させる、日テレでの巨人戦のような偏りを帯びているのが気になっていた。

どんなにすばらしい意見であっても、世論を単純化して、ここまで圧倒的な権力を特定の集団に持たせてしまうことが容易になったかのように見える改正後の選挙制度自体にも疑問はあるが、それ以上に、彼と彼の自民党に投票した人たちへは、今までと、これから小泉さんが好き勝手やっていくだろう事の末に対して責任を取る覚悟があるのかと問うてみたい。

大事なのは特定の事柄に対する改革ではなく、どういう考え方をもって改革に取り組んでいくかのはずだ。愛の感じられないナルシスティックな小泉さんは、根本的な部分でやっぱり信頼できないのだ。

先週末の大雨はものすごかった。
河川が氾濫した中野と杉並のハザードマップを開くと、当たり前だけど水系と地形をそのまま反映している。

よく見ると現在の川道と氾濫域がずれているところが見つかる。
もともとの川筋とずれて河川が土木的に固定されてしまったんだろうか。

ほかにも西荻の南に現在も、過去にも河川があったことが確認できないのに、ハザードマップではグリーンに塗られているラインが見るつかる。水によって浸食された低地なのには違いないだろうけど、河川になるほどの集水面積がなく、地下に水脈が流れているか、ごく細い水道があるのかもしれない。ここは一度辿ってみたい。

東京アメッシュでは立川周辺が局地的に豪雨になっている。ほんと生き物みたい。