新幹線へ

ローズマリーと地面

東京へ帰る日の朝、何が食べたいと聞かれたので、うどんと答えた。
母親が育てている菜園のシソやネギを取りに行くときに庭に出たら、一番下の弟が小学校入学祝にもらったサルスベリがきれいなピンク色の花をつけていてきれいだった。
2番目の弟夫婦と入れ違いに帰ってきた一番下の弟は、空手を始めてずいぶん引き締まっていた。あいかわらずあんまりしゃべらない。
畠の中の雑草をかきわけてまと一緒にネギを探して摘んだあと坂を登って下った。焚き火のせいで実のよく生るハッサクが枯れてしまってからは、畠の果樹はあまり実の生らないビワだけになっていたが、僕がへりに植えたキウイも大きくなり、最近父親が斜面に植えたレモンやハッサク、スダチが育ってだいぶ果樹園のようになっている。好きだった庭の柿の木は熟れた実の掃除が大変だという理由でモミジに植えかえられててしまったけど、ナツメと渋柿はまだ残っていたし、植木鉢からはみ出て巨大化したローズマリーも風格がでてきた。
ネギとシソを刻んで生姜と一緒に盛り付けて冷やしときつねの白いうどんを食べたあと話しているうちにお昼が過ぎ、あわてて支度をした。今年の短い夏休みはこれで終わり。