「はずである」

駝鳥さん
「官から民へ」について〜問題は「責任の所在」なのか
リスク管理エラーのリスク

そのとおりだと思う。


それにしてもこれは傷口に塩を塗るようで、あまりにもひどい。
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051128k0000m040134000c.html
ヒューザー社が倒産すれば、(買戻しにより)所有権を失った入居者にローン債務だけが残る極めてリスクの高い提案」なんだとか。


非合法な行為を故意に行う者が一定数存在するのはしょうがない。その行為を未然に防ぎ発生しても何らかの対処がなされる仕組みが整備されている、「はずである」という信頼を前提に平穏な生活は成り立っている。

今回の構造計算書偽装事件でいえば、合法的な詐欺行為により法外な利益を上げ始めていた不動産業者と、そのおこぼれに預かる建設業者、彼らに心を売ってしまった建築士がいて、クライアントである不動産業者の圧力に屈して提出してみた計算書が、十分でない制度に則ったチェックが常態化していた審査機関を通り抜けてしまった。彼らによって僕らが信頼していたはずの安全や不動産の価値が不安定なものになってしまった。ただそれだけだ。マスコミが騒ぎ立てるようには壁や床のひび割れに心配するのは、やはりおかしい。

必要なのは、どうするかだ。この事件は、いわば制度の欠陥による公害のようなものだと考えれば、被害者は国家や自治体に救済されるべきだとは思う。国は自分が作った制度の欠陥を認めたくはないだろうから難しいかもしれないが。

次にするべきは、簡単にすり抜けられる仕組みになってしまっている審査制度そのものを設計しなおすことだろうと。今あがっている国交省の案の建築士資格の更新制や、建築士会への強制加入など出てくる案は的外れで、どれも手数料収入と会費収入につながるような無意味な提案でしかない。本当に必要な確認審査制度自体の改善案が、なかなか出てこない。