悲しきラスベガス

パチンコ屋かスーパーマーケットが延々と並ぶ地方都市の幹線道路を通るたびに、不毛になってしまった地方都市の行く末を思って不安になる。パチンコというきわめて個人的なスペクタクルしか生まない不毛なギャンブルと東京と同じものしか売っていない巨大なショッピングセンターによって、地域の人たちのけして少なくない現金は、将来の地域のために何も生み出すことなく吸い上げられ消えていく。あの有名なアヒルさえ生み出さないこの状況からはヴェンチューリの指摘はジョークにしか聞こえてこない。ほとんど麻薬のように地域社会と街を蝕んでいくこの状態を何とかしなければ、地方は消えていってしまうんじゃないか。なんとかしたいけど、いったい何ができるんだろうか。いたたまれなくなってせめてその生い立ちを知ろうと、地図を見ながら街を歩いた。


帰省する度に少しずつ調べ、ようやく明治の頃までは空間的にも追えることがわかってきた。今回は地域を2分している丘によってつくられた二つの谷のもう一方へ行き、歩いて見ると、よく知っている谷とスケールは違うもののほぼ同じ構造と形成過程が浮かび上がってくる。海に面した2つの谷が双子のように競い合いながら成長していった様がイメージできるようになってきた。