ホヤ

これはゴーヤ

先週末は父親と赤坂で中華を食べた。本格北京料理というだけあって食べたことのないスープはとてもおいしかった。かたくるしくない独特の深みのある内装と、温かい紹興酒とバラエティーに富んだ食材と食後の中国茶の香りの幸せ感はやっぱり好きだ。


日本語がすこし苦手そうなオーナーに、ホヤは中華でも食べるのかたずねて「ある」というのでお願いしたら、緑のものが出てきた。中国のホヤは緑なんですかときいたらそうだというので食べようとしたら、間違いなくそれはゴーヤだった。


弟の会社が本社を東京から京都に移すことになりそうだと聞いた。学校の先生をしている奥さんもこっちの職場に慣れてきたばっかりだけに、すこし複雑。たいへんだろうけど、のりこえてほしい。その会社に決めた時の理由から知ってるだけに、戦争にいった祖父がよく言ってる、人生って本当に予想できない流れによってすこしづつ変化していくってことを感じる。


祖父が母親の子供の頃から結婚するまでを撮影した8ミリがあることを聞いた。小学生くらいの母親がおばあちゃん(僕にとっての)をキックしたりしていたそうだ。一番下の弟とそっくりだときいて笑った。
そこに当時の街を撮影した部分もあると聞いてますます見てみたくなった。今度大阪に行く時はみせてもらおう。


一番下の弟は、なにを思ったのか空手部に入っていた。結構ふくらんでいたのに既に腹筋見えてた。


今月の芸術新潮は買い。というか、もう買った。
特集 磯崎新 日本建築史を読みかえる6章
http://www.shinchosha.co.jp/geishin/200406/tok.html


本当はEsquire(発音の仕方をいつもわすれる)のオランダ特集を買いに立ち寄ったものの、値段は倍だけどアンコノ詰まった方を選んでしまった。最近の磯崎さんの著書(『建築における「日本的なもの」』や『空間の行間』)を簡潔に噛み砕き、豪華なビジュアルと一緒にまとめた感じでいい特集だと思う。Esquireの写真はいつもながらきれいなんだけど(全体的に白っぽくしているせいで、抽象的で実物よりもきれいになってしまっているのはやり過ぎだとも思うけど)。


磯崎さんの書く歴史は、はっきり言って普通の建築史家の書く歴史書よりも面白い。
卒業旅行でフィレンツェやローマを見てまわるさいにも磯崎さんの本(『造物主義論』『人体の影』)をテキストにしたおかげで、ものすごく入り込めた。
王道から少し外して独自の視点で強いストーリーを構築していく感じは、彼の設計が誇大妄想にも近い物語とともに語られる感じと当然似ているけど、そのアウトプットがどうしてもアクが強くなり過ぎる実物に比べて、書物の方は間違いなく誰でも楽しめる。


何年も同じ対象を考えつづけた人の語ることってやっぱり深度がある。超人的な磯崎さんのようにはなれないとして、年を取ってく父親が会うたびに円満になっていくのを見ても、あらためて長生きしたいなと思った。