僕たちが吸っている空気

会社を一時間ほど抜け出して聞いてきた加藤信介先生の講演で、僕らが吸っている空気は目の前にある空気ではなく、足元周りの空気だということを知った。

講演によると、常に放熱している人体によって引き起こされる微速の上昇気流の5%程度(胸元では10%)が口に到達する(ちなみに、放熱の30%が放流(空気)で70%が放射(赤外線)によるもの)。また、寝ているときは(臥位と表現)胸元を中心に上昇気流が発生し、呼吸の際に吸うことになるのは頭の上のほうの空気になる。(だから頭の周りは蚊取り線香などをおかない方が良い)
そういう理由から、部屋の床、壁、天井の6面が等しく化学物質を発散している場合は床からのものがもっとも影響が大きく、立っている場合は発散量の53%、床に寝ている場合は73%にもなる。無垢のフローリングが気持ちいい理由ってこういうところにもあるんだ。冬寝ているときの寒さというかドラフト感のない快適な寝室を考えるなら、こういったデータやシミュレーションから考えてもいいかもしれない。

他にも、気流で室内環境を乱されることが問題とされることが多いオフィスでの自然換気を併用した空調(特に中間期から夏季)では、室上部に給排気口を限定して気流を発生させることで居住域の気流が安定し、さらにそこに冷たい空気を留めることになり、より効果が上がる話なども参考になった。

この考え方と関空で採用されたような大空間への蓄煙による防災計画や、西沢大良の言う高い天井高とそこに別の機能を持たせる考え方をミックスさせることが出来れば今までと違ったオフィス環境になる。実務では天井高を上げることはものすごく難しいことだと分かってきたけど、可能性としては。